【北米からの手紙】(内藤茗)

■東方神起チャンミン主演『黄金を抱いて翔べ』は腐女子向け!?②

 男性だけの“ホモ・ソーシャル”な関係性をゲイとして読み込むというのは腐女子の得意技ですが、東方神起に関しては「腐女子」と「女子」の壁が崩れるような現象が特徴的に起こっていたのではないかなと思って居ります(彼らだけに言えることでは無いですが)。もともと腐女子だって女子であることに変わりは無い。要は、女性は「関係性」を好む、という事をまず、握られている。それと最近のアイドル現象にありがちではありますが、好みのアイドルの周りから「女」の存在をどうしても排除したい部分は、女子も腐女子も共通項として存在しますね。たとえば、女性との噂話厳禁というお約束の存在や、女性が一緒に写りこんだ写真の修正等などです。

 そういった関係性を楽しむ行為、いわゆるカップル遊びがK-POPで非常に人気を博していた事は、彼らのひとつ前の世代の「神話」というグループでも実証済みでしたし、またJ-POPにおいてもジャニーズなどに、カップル化によって非常に人気を得ていたアイドル達は存在します。更に東方神起では、LGBTに理解ができている、つまりゲイに禁忌感のない女子層(多分に日本あるいは、北米、欧州、オセアニアなどの女性オーディエンスでしょうが)も巻き込んでカップル人気は拡大化したのではと思えます。ですから、見ていると一口にカップルファンと言っても、商業BLも顔負けのハードな性描写のあるFFなどの二次創作も存在すれば、ちょっとした仲良しぶりなどの軽い萌えは楽しんでいても、ひどくエロいのは「ご免なさい」というファンまで幅広く存在するようです。

 しかし、とりあえず彼らが「男だけの世界」に居てくれる事は、女子にとっても腐女子にとっても共に都合が良い。それでいながら、無味乾燥ではなく、アイドルに是非とも必要な「萌え」を与えることができるのがカップル化のメリットでもあるでしょう。つまり恋愛シミュレーションや性的な幻想をそこから発生させることができますよね。普通の女子妄想でもできますけれど、それだと女を排除する事はできませんし、特に東方神起にたくさん存在する高齢ファンには自分と彼らの恋愛妄想とかは、かなり無理が有りますよね? だからなのか、腐女子化した高齢ファンが日本に多いのも頷けたりします。そして高齢ファンにも腐女子ファンにも共通しているのが、執着する対象に「お金を注ぎ込む」事でしょう。もう確かに、ここで金塊は狙われてるわけですね。

 でも実際、パッと見て「あら素敵」などと思ってみても、年若いアイドルにハマるというのはなかなか高齢な女性、例えば私みたいな(笑)オバサンにとっては、敷居が高いものです(アメリカでそんなことしたらまず間違いなく色情狂呼ばわりされますし。ハイ)。その敷居を飛び超える動機付け、興味の対象として、カップル化は有効だったのかもしれませんね。

 そしてそこにもう一つ作用しているのが彼らのキャラクター化(2次元化)という部分だと思って居ます。


 そもそも、韓流に高齢ファンが多い事実は、例えば韓国ドラマなどに見られる少女漫画的設定に「高齢女子」がハマりやすかった事もあるのでは無いでしょうか。東方神起の人気形成にもこれが当てはまるような気がしています。そして彼らの人気が動画サイトや、ブログ、ミニHPサイトやネット上のファンカフェによって大きく形成された事にも、この「少女漫画的」であることが関わっているのではと思うのです。つまり漫画のページをめくるように、彼らは「読まれた」ということですね。ですから、腐女子がよく見せる「2次元への執着」と同じ位相で、3次元の彼らへの執着も高まったのでは無いでしょうか。彼らについて良く言われる「3次元BLのカリスマ」「2.5次元の貴公子」という表現ですが、どちらも究極的には彼ら自身の存在の2次元化というベクトルの向きを示しているのではと考えます。また先ほど彼らについての二次創作、と表現しましたが、一次、つまり「原作」に当たるものは、すなわち彼ら自身であるわけです。生身の人間が「原作」という扱いになっているわけですね。

 上で述べた事は5人の東方神起にも2人の東方神起にも共通して言える事では無いかと思っていますが、考えてみると、何故、現在韓国の2人のファンの間において、腐女子ファンを「トン下げ」と嫌うファンが結構な数存在するのか? またJYJのオンリーファンはカップルにほぼ興味を失ってしまっているのかは、5人時代が終わりを告げた時に、韓国にも当時は多く存在した腐女子ファンが経験した痛みによるものかもしれない。そんな風に考えたりもしています。


■内藤茗 ライター
米国在住。ポップカルチャー全般が好きな二児の母&学生。
趣味:オタクの生態観察とつべめぐり。英-日翻訳者。

 

(メルマガ2012年10月25日号に掲載した記事です。ご購読はこちらからお願いいたします→http://www.mag2.com/m/0001552211.html